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静留を抱えながら階段を上がり部屋に入った東弥は、そっと静留をベッドに下ろすと間接照明の電源を入れた。 セピア色の照明にぼんやりと照らされて、見慣れた空間は一気に大人の雰囲気へと変化する。 「静留、体調は大丈夫?」 優しい手つきで頭を撫でながらぞっとするほど色を帯びた声で囁かれ、緊張で声が出せなくなった静留はこくりと首を縦に振った。 「脱がせてもいい?」 「うっ、うんっ…ぁっ…。」 続いた問いに答え終わらないうちにワンピースタイプの部屋着から下半身を覆う布までの全てを一気に脱がされる。 こんなにも性急に剥かれたのは初めてで、驚いた静留は自分の身体を隠そうと咄嗟に丸くなろうとしたが、その前に東弥の大きな手が静留の手首をシーツに縫い留めた。 見上げた先で、彼と視線が交錯する。 「ごめん、余裕ない。…まだ怖い?」 苦しげな表情で吐き出された彼の声は雲のように柔らかい一方でひどく艶っぽく、視界に映し出されたダークブラウンの瞳は余裕なさげに揺らいでいた。 そんな状況でも静留を気遣ってくれるその優しさが、嬉しいと同時に少し切ない。 彼はたくさん時間をかけて静留の身体を大切に開いてくれた。 経験のない静留に足取りを合わせてたくさんたくさん待ってくれた。 だから、もう、どうか。 「こわくない。僕も、はやく東弥さんと、…したい。」 勇気を出して紡げば、噛み付くように唇を奪われた。
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