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君が好きなものならば
(東弥side)
「えー、東弥それ捨てんの?可愛いのに。」
サークル内の女子から貰ったもの捨てようとしていると、通りがかった谷津が不服そうに声かけてきた。
全く、間の悪い男である。
「だって趣味じゃないし。そもそも一回プレイしただけなのになんで俺にお土産なんて渡してくるのか、気が知れない。もったいないと思うなら谷津が持ってく?」
「んー、彼女が喜びそうだけど、女の人の願掛けつきはちょっと……。」
「願掛け?そんなものはついてないでしょう。」
「全く、冷たいやつー!!」
追い討ちをかけるように言われ、多少の罪悪感が生まれた。
色ならばピンク、服ならばフリル。女の子らしいと呼ばれるものが、総じて苦手だ。
ひどい言い方になるかもしれないが、下心しか見えなくて不快でたまらない。
そういうわけで、ぬいぐるみ付きのキーホルダーなんかは俺がもらってもすぐにゴミ箱行きになる。
「好きでもないのに持ち歩くことが優しいとは言えないでしょう。俺はプレイ前にちゃんと一夜きりって約束するし。」
「女泣かせ!罪男!!」
「…… 」
だんだん言い返すのも面倒になってきて、キーホルダーをゴミ箱に放り投げてその場を後にした。
たぶん、もし仮に俺に恋人ができたとして、その人が好みの男性だとしても、こんな形あるものをお揃いでつけることなどしないだろう。……だって、趣味でもないし、永遠を約束できるわけもないのだから。
あるだけ邪魔で全く意味がない。
谷津のせいで少しだけ芽生えた罪悪感も、外に出れば、冬の白いため息とともに溶けて消えた。
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