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私の夫は6歳下の赤ん坊
セレナイト王国では、恋愛結婚の末に王妃1人と娶り添い遂げる事を決めた王が居ました。
しかし王妃は王子を1人産んですぐに他界されました。
王は王妃の身分が低くかったことと、万が一王が王子の幼い間に死んでしまったら後ろ盾がいなくなってしまう事を心配して、器量も良く、後ろ盾にも申し分ない公爵家の次女と、生まれて間もない王子を結婚させる事にしました。
その結婚相手が私、マーガレット・デルシアハイムです。ただ今の年齢6歳です。(因みに現在王子は0歳の6歳差。)
実は、此処は前世の短編小説の世界で、私は日本と言う国からこの世界に転生した転生者なので、この結婚の後の展開は知っている。
まず、王子は12歳になったら2歳年下のヒロインへの初恋イベントがある。この世界の成人は12歳。だから王子が12歳になる王宮主催の誕生日パーティーで出会うみたいだ。
淡い初恋から少しずつバッタリイベントを重ねて2年の月日がたち、14歳になった頃、やっとヒロインとの間に芽生えた愛を自覚して愛するあまり側妃ではなく王妃にしたいと願うようになってくる。
私に対しては公爵家の後ろ盾である事や、姉として接して来た家族愛を持っており、家族として大切な私の立場を考えて苦悩した果てに、なんだかんだあるが公爵家は後ろ盾のまま、私と離縁を潔くして私は王妃の座を譲渡すという。
物語の障害物なだけの役割の私。別に破滅も無ければ命が危うい事も無いので何の抵抗もなく私は6歳にしてこの赤ん坊の伴侶になった。
赤ん坊である王子の頬を突いてため息をつく。
(きっと格好良くなるんだろうなぁ。でも、私のものになる訳じゃないからな。)
そんな私に微笑ましく思ったのか王様が聞いた。
「マーガレット嬢は私の娘も同然だ。結婚祝いに何でも望むものを送ろう。何が欲しい?遠慮はいらぬ。申してみよ。」
「何でも…あ!もし王子に愛する人が現れた時、手続きがスムーズになる様に玉璽が押された離縁状が欲しいです!」
「こらマーガレット!なんて事をっ!」
お父様は青い顔をしているけれど、原作では離縁の手続きや王への説得にすっごい時間かかったという事でヒロインと離れ離れに過ごして一年後とか無駄に長い時間会わないという展開が最後に控えてる。
この天使の顔して眠る王子に、私の最後の祝いとして速やかな離縁を可能にする準備はしておいてあげたい。
一応王には、王子が愛する人と結婚したいのに私と結婚してたら可哀想だから事前に玉璽を押した離縁状をくださいと言ったところ、王は幼い私の配慮にいたく感動したのかその場で離縁状を作成して私にくれた。
色々質問されたけど、恋愛結婚だった王はその辺りの話は通じ易くて助かった。
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