君を守る

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僕のすむ地域では今日から梅雨入りしたそうだ。 平年より2日ほど早いらしい。 僕は梅雨が好きだ。空が まるで小さな子供のように泣き続けている。 僕は雨が降っている時にしか外に出られない。 外に出たら思いっきり体を伸ばす。気持ちがいい。 雨で身体が濡れるのだって気にならないんだ。 「いってきまーす!」 正樹は勢いよくドアを開けた。空からは大粒の雨が落ちていた。 今日は僕も出掛ける日だ。僕は正樹と手を繋いで外に出た。 久々に嗅ぐ外と雨の匂い。僕は精一杯大きく伸びをした。 雨の日は僕が正樹を学校まで送っていく。楽しいのだが実に骨が折れる仕事だ。 僕は雨が好きだが、どうやら正樹はそうでないらしい。正樹の横を車が通る度に僕の手を握る正樹の手に力が入る。痛いからあまり強くしないでほしい。 正樹はまだ学生だ。僕は正樹の学校が終わるまで待っている。学校が終わった正樹と僕はまた手を繋いで家まで帰る。 これが、雨の日の僕と正樹の一日だ。 梅雨だから明日も明後日も雨が降り続くだろう。 ああ、このままずっと止まなければいいのに。
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