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井上海里(いのうえみさと)は今年の春に社会人になった。海里の家は群馬県の前橋市だ。勤め先は高崎市。通勤が30分ほどの場所だ。群馬県は車の保有率が一番高い県だ。でも海里は電車通勤を選んだ。車の免許は就職活動をしながら取ったのだが海里はお父さんを自動車事故で亡くしている。職場は群馬県の高崎駅から少し歩いた場所にオフィスがある会社にした。全国に支社があるとても大きい会社だ。海里はそこの給与課で働くことになっていた。
初出勤の日、オフィスカジュアルでいいという話だったのでゆったりとしたブラウスに黒のカーディガン、黒のパンツで出勤した。給与課は男性、女性、パートのおばさんも含めて50人くらいの人がいた。若い女性も多くて、チュールスカートをはいている女性もいる。あんな格好でもオフィスカジュアルに入るのかな。そういえばパートのおばさんなんかチュニックにレギンスの人もいる。外資系だからかなり服装は自由な部類に入るんだろう。海里が周りの様子を窺っていると上司の課長でイケメンの神戸さんという人が紹介してくれた。まだ30代の半ばくらいだろう。それなのにこんな大きな会社の課長をしていてイケメンだなんて憧れちゃうな。まあ大人ニキビでボツボツの海里なんか相手にされないかもしれないが。
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