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組曲『 怪談 』
それは、茨城県にある柏葉村と呼ばれている山村の、今では廃校となってしまっている小学校の音楽室で起きてしまった出来事である。
山岳地帯を切り崩して建てられた柏葉小学校も、今では少子高齢化に伴い、他校と合併されてから久しくもあるのだが………。
淋々としてしまっている小学校ではあるのだけれども、週末には、昔を懐かしんでグラウンドでサッカーやソフトボールを楽しんだり、今でも音楽室に残されてあるピアノで音を鳴らして歓ぶ生徒たちもいた。
………ところが。
或る年の中頃、8月15日を迎えようとしていた頃の事。村人の間では、奇妙な怪談話が噂され始めていた。
深夜1時~2時頃になると、音楽室に明かりが灯り、誰1人として立ち寄る事なく、ピアノが鳴り響く音が聞こえて来ると言うのである。
そして、何故だか分からないのだが、聞こえて来る曲と言うのが皆、云わずと知れた『フレデリック・フランチシェク・ショパン』の楽曲なのであった。
その事を知った村の大人たちは恐れ戦き、子供たちにふれて回っていた。
「………2度とあの小学校に近寄ってはならぬ。」
警視庁麻布署勤務の三井雄太郎巡査部長が左遷されて、村の駐在所へ赴任して来たのは、丁度その頃の事であった。
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