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私、鬼の仲間は一匹もおりませんが、友はおりましてね。まぁみんな概念とは異なってしまった、観念から生み出された妖怪たちなのですが、みんな本当に良い妖怪で。先ほどお話しした雪女さんもその中の一匹でございます。
不思議でしょう。鬼なのに、鬼以外の友しかいないというのは。でも考えてみたら人間の皆さんも同じようなものなのかもしれませんね。隣人や隣国にはあまり良いイメージを持たなかったりいがみ合ったりすることが、遠くの国の人と比べると多いような気がしますし。自分とより近いと思われる存在が気に障ったり、攻撃の対象になったりするのは、どこの世界でも同じなのかもしれませんね。
で、何の話しでしたっけ? あっそうでしたね。
小さな差異ならよくあることなのですが、概念から大きくはずれてしまいますと、仲間には入れてもらえなくなるのですよ。お前は鬼じゃない――と。
誰に認められなくても、私は鬼として生み出されているわけですから、鬼なのでしょうけれど。
これをお話しすると人間の皆さんは驚かれるのですが、妖怪は、その妖怪を知っている人間の数だけ存在します。つまりどういうことかと申しますと、百人の人間が輪入道様をご存じだとします。すると妖怪の世界にも輪入道様が百匹、存在するのです。
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