こうなったのは誰のせい?

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「全部雨だった!!」 店内は一気に静まり返った。 「……え?」 俺はそのままフリーズしてしまった。 どうしてだろう。彼女の言ってることが理解出来ないぞ? すると向かいの彼女は淡々と語り始めた。 「私ね、晴れ女だったの。幼い頃から学校行事だって全部晴れだったし、旅行や屋外イベントも雨が降ることなんて一日もなかった。なのに……」 次の瞬間、突き刺すような視線が俺に向けられた。 「あなたとのデートは全部雨だった!! 一日くらい晴れてもよかったのに!! あなたどんだけ雨男なのよ!!」 「いや、そんなこと言われても……」 「もういい!!」 俺は一度彼女に落ち着いてもらおうと努めたが、彼女の怒りは収まらなかった。彼女はそのまま席を立つと店の出入り口まで駆けて行った。そして振り返り様にもう一度恨めしく俺を睨みつけた。 「うそつき!!」 何がだ。 俺は今度こそ何か言ってやろうと思ったが、それより先に彼女は土砂降りの世界へ飛び出して行った。店内に取り残された俺はただ呆然とその姿を眺めていた。彼女には申し訳ないが、追いかける気には到底なれなかった。 俺は再び窓の外を見た。雨の勢いは弱まらない。むしろさっきよりひどくなっている気がして俺は項垂れてしまった。 「やっぱり俺、雨男だったのかな……」 「あの……」 再び感傷に浸り始めたとき、俺は後ろから声をかけられた。振り返るとそこには注文の品を持ったウェイトレスが立ち尽くしていた。なんとなく申し訳なさそうな口ぶりだったので、先程のやり取りの一部始終を見ていたと思われた。俺は途端に気まずくなり、ひとまず謝ろうとした。だが先に言葉を発したのはウェイトレスの方だった。
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