1 週明けの衝撃

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この家の主であった祖父は、漫画家という少し変わった生業(なりわい)からか、 やや破天荒にも思える人柄だった。 その息子である玲子の父は祖父と性格的に合わず、大学進学と共に、 この家を出てからあまり寄り付こうとしない。 だが、そんな父に成り代わるかに、玲子は幼い頃から祖父母もこの家も 大好きで、週末や長い休みといえば我が家のようにこの家で過ごしたものだ。 だから玲子は、大学に入学して間もなく、祖父亡き後、独り暮らしをしていた祖母の助けにという名目で、この家に移り住んだ。 それから、七年。今も祖母と一緒に、この家で暮らしている。 破天荒だった祖父に、いつもニコニコと包むように寄り添ってきた祖母との 暮らしは至って穏やか。 女性の二人暮らしにしては会話も静かで、その中に二人で可愛がっている 文鳥夫婦の小さな話し声が聞こえてくる。 そして玲子は、むしろ、この古さと穏やかさが作る空気が好きだった。
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