雨の子どもたち

1/4
前へ
/5ページ
次へ
 わたしの名前は“ゆいり”。八歳。  今日は雲がどんよりして、小雨がずっと降ってる。  でもね。ゆいりは雨の日がすごく好き。 ──ピチャピチャッて落ちる雨音。 ──雨のツンとした匂い。 ──車が走るたびに弾ける水の音。  雨の日はいつもと違う音や匂いがする。  ゆいりにとって、雨の日は特別なイベントだから。  今日も学校おわったし、大好きな『おかえり、バイバイ♪』を口ずさみながら、雨の道を歩く。 ──あれ、なんだろ。  大きな水たまりを通り過ぎた瞬間、水たまりに映った人影と目が合った気がした。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加