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 喉がからからに乾く。彼女の見た目、声、言葉、なにもかもが地獄とは不調和で、謎が謎ばかりを呼んで。  ゴトーさんがいなくなった瞬間、一番気にかかって仕方なかった疑問が、我慢しきれずにこぼれてしまった。 「……ひとをころして、しまったの」    彼女はにっこりと、たおやかな笑みを浮かべる。  奈落の赤い翳が白い顔にかかって、ぞくっとするほど妖艶に見えた。 「あなたの声は、その人に似ている気がする……。もう、大昔のことだからはっきりとは思い出せないけれど……。もっと、ずっと、聞いていたくなるわ。……行きましょう、監督さん。地獄を案内してあげる」  蕩けるような甘い声の告白に、背中側へびりっと電気が走るような心地がした。  俺を誘う鹿乃の背中に――俺は、何も考えることができないまま、ついて行った。
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