幸せの薬

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最近会社を休む人が増えている。 それは自社だけではないようだ。 どこも大変で体を壊す人も多いと思うが、それにしても休む人が多い。 終わりのみえない不景気時代だ。 子供から老人まで不安で押しつぶされそうだ。 「おい!一週間も休んでどうしたんだ。お前が休んだからこっちは大変だったんだぞ。」 「先輩。すみません、最近の激務で疲れてしまって。」 「わかるけど、私だって限界なんだよ。」私はつい部下に本音を言ってしまった。 「そうですよね。先輩もストレス溜まっているんですね。 あの、よかったらこれ差し上げます。」そう言って錠剤を渡された。 「え!なんなんだい、これってやばい薬じゃないのかい?」 「いや、これは今流行っている睡眠薬ですよ。 睡眠をよくとると、気分がリフレッシュできるんですよ。 これは、一粒で1日ぐっすり眠れるのですよ。」 「怪しい薬だなー。明日は休みだから試しに使ってみるよ。」そう言って睡眠薬をもらった。 思えば最近は忙しく、なかなか眠れていないので一粒飲んでみた。 すると深い眠りにつくことができた。 起きたときには体も軽くとてもすっきりした。 こんな感覚は久しぶりだ。 睡眠の重要性を改めて感じた。 しかし、仕事をしているとまたストレスが溜まってきた。 私は連休を使い錠剤の量を増やしていった。 眠れば眠るほどリラックスできる。 この錠剤は、瞬く間に世界中に広がった。 そして、いつしか人間たちは永い眠りについた。 おかげで地球上の最大のストレスが解消された。
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