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親父マン 1
さて、僕は勉強が嫌いだ。
ゲームは大好きだけど勉強は勘弁。
教科書よりもマンガが好き。
……まあ普通の事だよね?(ちなみに僕の周りにゲームより勉強が好きな生徒はいない)
でも、その「普通」のおかげで困らされるのは、宿題だ。
いっつも苦労して問題を解かなきゃならない。
でも、今日は休日……なら、一つだけ策がある。
というわけで、僕は廊下に向かって叫んだ。
「助けてくれ、親父マーン!」
バサバサッ。
慌ただしい音が数分間聞こえたかと思うと、
「呼んだかー!?」
階段を転がるように降りてきて、僕の前でビシッと決めポーズをとる男。
僕の父さん、通称『親父マン』!
さっきまではダボダボのTシャツにズボンだったんだろうけど(少なくとも朝ごはんの時まではそうだった)、派手な赤いシャツに着替えている。
下のズボンはそのままで、マントがわりに羽織っているのはバスタオル。
横に長いバスタオルを縦につけているせいで、首の前の結び目が今にもほどけそうなんだけど、まあいつものこと。
「何でも解決親父マン、参上!今日の怪人はどいつだ!?」
胸を張って高笑いする父さん、じゃなくて親父マン。
頼もしい……!
僕は言った。
「親父マン、勉強怪人を倒してくれ!」
「……。」
高笑いしていた親父マンの顔が引きつる。
「どうした、親父マン!ほら!」
宿題を突き付けると、親父マンの顔がさらに引きつり、顔に縦線が入る。
「……また会おう!」
「あっ!待て!」
親父マンは逃げた。
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