宇宙は今日も雨だった

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宇宙は今日も雨だった

「宇宙に雨は降ると思うかい?」  ロバートは出し抜けにそう訊いた。  訊かれた女は訝しげに、白と青に彩られた空を仰いでから、男をじろりと睨んで言った。 「降るわけないでしょう」 「僕は降ると思うな」 「どうしてそう思うの? このなにもない真空で。(さんそ)はおろかH2(すいそ)だってないのよ? 原材料がなくっちゃ、どんな物質だって生まれてこれない」 「そういう問題じゃないんだよ」  じゃあどんな問題なのか。リンダは喉元まで出かかった質問を飲み込んだ。これ以上の議論は無駄だと思ったからだ。彼女は備え付けられたタンクからほんの少しの水をプラスチックカップに注いで、飲んだ。不味くも美味くもない、水素と酸素の化合物の味がした。  男は言った。 「歌ってるんだよ」 「何が?」 「雨が、さ」 「何言ってるの?」 「だからやまない」 「理論で説明して」  男はスッと息を吸う。  そして、それこそ歌うように心に思い描いた。
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