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05. 私を見ない男
たまに、「お前の飯食いたい」と言われたときは料理していたけど、夜遅くなることも多かったから、私はよく、光貴の研究が終わるのを学食や図書館で待っていた。
これまでは共通の授業中の姿しか知らなかったけど、光貴は理学部物理科学科で、付属高校から飛び級して入学したひとつ年下だった。そして1年生だが特待で研究室に入っていることもあとから知った。
光貴が所属している研究室は機密保持のため、学生でも許可者じゃないと入れない。入口にゲートがあるから、光貴から「そろそろ帰る」と連絡があったら、研究棟の1階で待つこともあった。
理学部は女子が少ないから私は悪目立ちしてしまい、他のゼミ生からも覚えられてしまって「また草木田を待ってんのー?ラブラブだねぇ」とからかわれていた。周りからは「素っ気ない彼氏と強気な彼女」だと思われていたけど、実際は片想いのセフレ。辛い。
光貴は研究の事ばかり考えてて、セックスが終わると私をほったらかして家でもよくPCを見ていた。リアルタイムで何か調査してるらしいけど、ドが100個つく位、ド文系の私にはさっぱりわからなかった。
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