05. 私を見ない男

2/5
前へ
/26ページ
次へ
 自分の家ばかりだと飽きるのか、時々、光貴は私の家にも来るようになった。でも、その時は決して朝までは泊まらずに、夜中か明け方には帰っていく。  いつものようにセックスしてから、私の部屋のカレンダーを見て、光貴が質問してきた。 「誕生日いつ?」 「は?」 「聞こえなかった?お前の、誕生日、いつ?」 「来週……の、水曜日」  来週の水曜日のところに、この前遊びに来た友達が花丸して「ハピバ!」と書いてたから、確認したんだと思う。 「次の日曜日、午後は予定ないんだけど、一緒にどっか行く?」  デートってこと?  ダラダラと体だけの関係を続けて、半年。はじめてそんなことを言われた。 「え、やだ……」 「は?せっかく誘ってやったのに、可愛くねぇなお前」  やだよ。  これ以上好きになったらどうすんの。心も欲しくなったら辛すぎる。  ほんと可愛くねぇ、と言いながらキスしてくる。そんな風に優しく触れられたら、どんどん心を持っていかれる。 セックスしてる最中は、私の事だけ見てるから何も怖くないけど、終わったとたんに虚しくなる。この関係はいつまで続けられるのかな。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1357人が本棚に入れています
本棚に追加