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「あのー……」
光貴が珍しく何か言い淀んでいる。前より少し短くしてる髪をかきあげながら、視線を落としてる。それきり言葉が続かなかったので、私の方が先に口を開いた。
「広報誌みたよ。文科省から表彰されたんでしょ、凄いね」
「ああ……」
びっくりしたようにこっちを見たけど、またすぐ視線を足元に移した。
「あのさぁ……」
「はいはい。何よ。さっさと言えば?」
「お前、就職先決まった?」
何かと思えばそんなことか。
「聞いて驚け。なんと私は卒業したら高校の国語教諭になるのだ!」
「はあ?お前が?本当に先生になるのか?嘘だろ」
「すごくない?このご時世に。私を捨てたの後悔した?」
笑って言ってやった。そうしたら、光貴が急に不機嫌そうになった。
「は?振られたの俺じゃん」
……え?
何て言った?
「そうなの?」
「お前が飽きたから別れたいって言い出したじゃねーか」
なんだこれ。こんな風に言われたら、私の事好きだったみたいじゃん。一方通行だと思ってたのに。
「私、片想いでセックスだけするのが辛くて会わないようにしたんだけど」
「片想い?」
「だってセフレじゃん」
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