雨の降る日に

観光に来て、道にでも迷ったのかしら。こんな雨の日に。

ドンドン。

ドアがノックする音が聞こえてくる。

はい。どちら様ですか？

ドア越しにそう尋ねてみる。

私は、ルティエル。遠くの国からやって参りました。

全く人と出会うこと出来ず少し話をしてもよろしいですか？

ドアを開けると、目の前に青年が1人立っていた。

淡い紺色の髪に薄茶色の瞳。年齢は、20歳半ばに見える。

ここの村の人達は、雨が降ると外には出ないのです。

ええ、そのようですね。こんな素敵な日なのにもったいない。

通り過ぎる家々の人々が明日は晴れるようにと祈っておりました。