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ジゼル 伊月雅
スタジオの廊下の掲示板に張り出された配役表に各々感情を表に出している。喜ぶものもいれば少しがっかりした子もいる。
私は配役表の文字がよく見えなかった。ジゼルが伊月雅…ジゼルがいつきみやび…。文字を飲み込む前に後ろから抱きつかれながら声をかけられた。
「雅!主役おめでとう!!!あんたがジゼルだよ!!」
興奮気味に話しかけてきたのは同い年の志田桃奈だった。きりっとした目鼻立ちをしていてマロン色のレオタードを着ている。お団子はネットを使わないでピンだけでまとめている。
「あたしはペザント役だったよ!雅とはプレッシャーとか全然違うかもしれないけど一緒に頑張ろうね!」
「私ジゼル踊るんだね…。」
「そうだよ!もう一度言うけど主役だよ?もっと喜んで!」
桃奈は私の肩をつかみ少し揺らしている。主役なんだ…。小さい頃は主役のお姉さんたちがとても輝いて見えたのにまさか自分がやることになるなんて。徐々に嬉しい気持ちが湧いてくるが同時に緊張も出てくる。
「すっごい嬉しいけどもう緊張してきた…」
「緊張するのは早いわよ。本番はあと4か月先ですから。」
いつの間にか愛弓が後ろにいた。
「うん‥‥そうだね。」
「それに緊張は本番とアルブレヒトさんと踊るときだけにしてよね!」
アルブレヒト…さん??…さん??もしかして…
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