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2回目の合同練習では夏木さんもさらに仕上げていた。つい1か月前振り入れしたとは思えないほど役に入り込んでいる。特に第二幕ではジゼルに対する後悔の念がにじみ出ているような表情と演技は私の演技も引き込んでいった。私も正直今日の演技が1番いいと思う。踊りが好きな村娘のジゼルからウィリとなり、悲しみとアルブレヒトを想うジゼルまで幅広く振りを区別して踊ることができた。
練習後、夏木さんに声をかけられた。いつもの冷たい声で。
「着替えたら近くの公園で待ってる。話がしたい。」
踵を返し、更衣室へ入っていった。今日の練習で何か言いたいことだろうか。大まかなことは特に先生にも注意されなかったけどな。演技の解釈の違いに気づいたのかもしれない。ポワントを脱ぎ捨てながら更衣室へ戻った。
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