雅なるバレエ 憧れの宙

３

　急いで着替えて走っていくと公園へ行くとへ行くと黒い革の手提げを持った夏木さんがブランコの支柱に寄り掛かっていた。街灯が寂しそうに照らしている。
｢はぁっ、お、遅れてすみませんっ！は、話ってなんですか?｣
｢‥来たか。俺もさっきコンビニに行ってたから待ってない。とりあえず座れ。｣
バレエとは違い、全力疾走してきて息が切れる。言われた通り夏木さんとは反対側のブランコに座ろうとした。すると急に頭がふらふらしてきた。目の前が白くなり、倒れかけたところ腕をぐいっと持ち上げられた。支える腕は白く細いが美しい筋肉がまとっている。
「おいお前大丈夫か！？」
今くらっとして倒れかけたの…？悪いことに夏木さんの腕を煩わせてしまった！
「だ、大丈夫ですっ！ちょっと躓いただけで…」
腕をさらにぎゅっと握られる。
「腕細すぎやしないかい？もともとやせ細っていたのにさらに痩せこけて肌もボロボロだぞ！！最近よく食べていないだろ！！」
「た、食べてますよ‥豆腐とかバナナとか…」
「今日呼び出したのはその話なんだよ！バレエダンサーはスポーツ選手と同じだ！それなのになぜ身体を腐らせて目先の嘘の美しさを手に入れようとするんだ！」