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 バレエは衣装が豪華で素敵なものが多いので女の子は1度憧れるがけれどその分男の子の生徒が私の教室では少なかった。80人くらいいる教室に3人いれば多い方かもしれない。その中で1番年上なのが私の一つ下の神下圭一(かみしたけいいち)だ。目も唇も細く、着物が似合いそうな顔つきをしている。身長は172㎝で教室内では1番大きいけれどひょろひょろっとした体形なのでみんなからは「けいちゃん」とカワイイあだ名で呼ばれている。彼は少し恥ずかしいみたい。でもけいちゃんは女の子たちに負けずとても上手に踊る。褒めるといつも「そんなことないよ。男が僕だけだから上手く見えるんだよ」と言う。きっとけいちゃんは次の発表会では主役の相手役をやるんだろうな。今まで主役の相手役はプロのゲストをお呼びして踊っていただいていたが年齢の高い男の子がいれば教室内で相手役を見つけるのだと思う。しかし配役発表がされ、私には全く予知能力、いや想像力がなかったのだと思った。
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