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見渡す限り蒼。
俺を囲ったガラスの空間を蒼が包んでいた。
どんな理由があって、何故ここに来たのかもわからない。
ただ、明らかに生命が脅かされている現在だけがあった。
「誰だよ!俺をこんなおかしな場所に閉じ込めたのは!」
ガツンと拳を打ち付けたガラスの向こうでは亀、鰯、蛸…移りゆく景色の中で色とりどりの悪魔たちが優雅に泳いでいた。
俺を乗せた箱は俺をゆっくりと深い蒼へと運んでいるようだった。
この密閉された空間から逃げ出したとして、果たして俺は無事に地上に帰れるだろうか?
ズズン…という小さな衝撃で蹲っていた俺は自分が海の底に着いた事を知る。
この深さなら、まだ何とかなるんじゃないか?
そんな希望を抱けるのもそれまでだった。
「…げぇっ!?」
鮫だ。真っ直ぐこちらに向かってきている。
3、2、1…
鮫の突進は俺が入った箱を容赦なく弾き飛ばした。
「おいおい、俺は餌じゃねぇぞ…!」
硬い壁で打った頭を摩りながら立ち上がった俺は去っていく鮫を見て安堵するとともに、希望が失われたのを知った。
ガラスの壁に空いた穴、勢いよく流れ込む液体。箱の中を蒼が満たしていく…
もうダメだと、本能が言った。
諦めろと、理性が言った。
蒼は、俺を荒々しく飲み込んで行った。
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