46人が本棚に入れています
本棚に追加
ここに居ることに、耐えられなくなったのだろう。安村が静かに席を立った。
ただ、どれだけ目立たないようにしたところで、教室中の視線は安村に向けられている。
ドアへ向かって歩いていく安村を、にやにや顔の大川が止めた。
「なぁ! ホモってどうやってエッチすんの? やっぱ、男のケツに入れんの?」
「おえっ。キモっ」
高畑はわざとらしく口に手をあて、吐く真似をした。
「なぁ! 気持ちいいの? 男のケツって。お前、掘るほう? 掘られるほう?」
さすがにこういう話になると、女子の笑い声は消え、男子の笑い声だけになる。
安村の小さくなった背中が、何も言わず、振り返ることなく……、教室を出ていった。
最初のコメントを投稿しよう!