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ジャガーの戦士2
宮殿。
大きな戦いがあったようには見えなかった。塀も門も傷ついていない。門の前に歩哨が二人。どちらも鉄の鎧を隙間なく着込み、火を噴く鉄の棒と鉄の剣を持っている。
少年は門のそばの廃墟の屋根の上から、それを見ていた。すとん、と、歩哨の目の前に飛び降りた。そのまま、雨が地面にしみこむように、自らの影の中に沈む。二人の歩哨は何を見たのかわからず、反応できない。影の中で黒いものが泡立ち、そして次の瞬間、巨大な黒いジャガーが、そこから跳びだした。前脚のどう猛な一撃で一人の兜がはね跳ぶ。首をねじ切られてその歩哨はすでに絶命している。うろたえた声を上げながら、もう一人が銃を抜く。ジャガーは溶け落ちるように影に沈み、銃弾がむなしく飛び去る。歩哨は下半身の激痛に叫ぶ。彼はなぜ足の付け根に鋭い刃物が刺さっているのかわからない。
オセロトルは「鎧通し」を引き抜くと、まだ息のある歩哨を放置し、門をよじ登った。内側の閂をはずす。
銃声に気づいた者が一人、宮殿の奥から出てくる。
ぱん、と背後から銃声が響いた。兵士が倒れた。
歩哨の銃を奪ったマイラ・ベルが、白煙に包まれて塀の上に立っている。
片手を振り、奥へ進めのサイン。
騒ぎの中心はここでなければならない。倉庫の警備をしている者を、こちらに引き付けるのが目的なのだ。
女海賊は白煙の中から飛び降り、自分の撃った兵士の銃を拾い、異常な素早さで宮殿の屋根によじ登る。
マイラ・ベルは宮殿に寄ってきた兵を順に狙撃する。そのつもりのようだ。
少年を見て、何か言った。
――ワクワクするな、待ちきれないぜ。
たぶん、そんなようなことを。
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