1.最悪の失恋

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 私の通う星颯学園は、地方都市の、常にトップを走っているというわけではない、中途半端な進学校だ。  故に、一人でも多くの生徒をいい大学に入れて、校名を上げようということに余念がない。    学期毎に、実力考査・中間考査・期末考査がおこなわれ、それに業者がおこなう模試だの、全国統一模試だのが加わると、試験のない月など存在しない。  学年が上がるとその頻度は更に増す。    クラスは成績順にわけられ、席順までもが成績順。  誰がどれくらいのレベルなのか、教室に一歩入っただけで一目瞭然なのに、その上ご丁寧に、試験のたびに順位表まで貼り出される。   (何が悲しくて、こんな高校に来ちゃったんだろう……?)  自分の教室がある第一校舎からはかなり離れた特別棟の中庭で、私は膝を抱えて座りこんだ。   (これからいったいどうしたらいいの……?)  特にやりたいこともなく、部活にも入っておらず、ひたすら渉との恋愛一色だった私の青春は、今となってはお先真っ暗だった。
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