北風と太陽に出てくる旅人が女性だったなら

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ある日のことでした。 北風と太陽がどちらが強いか言い争いをしていました。 「俺のが強い」 「僕のが強い」 北風も太陽も一歩も譲りません。 「じゃ、こうしようぜ!  あそこにいる女性の服を脱がさせたほうが勝ち!」 「わかりました。  その提案飲みましょう」 北風の提案に太陽も飲みます。 北風が先に勝負に出ます。 北風は思いっきり強く息を吐きます。 「ビュー」 すると女性のスカートが風でなびきます。 北風は照れてしまい。 そこで風を吹くのを止めました。 女性はいいます。 「風でスカートをめくるなんてサイテー」 そういわれた北風はやけになり。 一段と力を入れて息を吐きます。 「ビュービュービュー」 北風は目に涙を浮かべて息を吐きます。 「ビュービュービュー!  ビュービュービュー!」 女性は拳に力を込め。 北風にアッパーカットを決めました。 北風は涙を浮かべ風を吹くのを止めました。 「グスン。太陽くんにバトンタッチだ」 「ふふふふふ。任された」 すると太陽ははじめにポカポカ暖かく照らしました。 暖かく優しく暖かく優しく。 スカートをパタパタさせ中に風を送ります。 「暑い」 女性はそういってはみるものの。 服は脱ぎません。 女性はそのまま歩きます。 汗を流しながら。 太陽はジリジリと女性を照り続けます。 川があります。 女性は靴を脱ぎ。 足をパチャパチャ。 でも、服は脱ぎません。 「もうひと押しだ!」 太陽はさらにジリジリと女性を照らします。 「ねーねー彼女!」 するとチャラそうなイケメン男子が女性に声をかけます。 「ん?なぁーに?」 「なんか暑いよね?  近くに村があってそこに良い旅館があるんだけど。  僕と一緒に来ない?シャワーでさっぱりしていきなよ!」 女性はときめきます。 イケメン男子は顔もよくお金も持ってそうだったからです。 これはワンチャンあるのでは? そう思った女性はいいます。 「いいよ」 女性は顔を赤らめそれを了承します。 北風と太陽はなにかを予感します。 北風は思います。 力強く攻めても女性は、なびかない。 太陽は思います。 暖かいだけでは女性は、なびかない。 力だけでも暖かいだけでも人は動かせない。 そう思いました。 北風と太陽は目に涙を浮かべ。 自分たちの力のなさに落胆しその場をさりました。 女性は少し高そうな旅館に案内されると。 男性がいいます。 「一晩、朝食と晩ごはんつきで2万円だけどいいかな?」 「え?安くないですか?」 女性は売春行為になるのでは?と思ったものの。 その値段は安いと思って少しがっかりしました。 でも、チリも積もれば山になる。 「10日で20万円か。  そうなると結構な値段になるね」 女性はそう思います。 「あ、なんならもうちょっと安くてもいいよ」 「え?」 まさかのここで値切り交渉? でも、20万はそんなに簡単に儲けれない。 そう思った女性は言います。 「えっとじゃ思い切って15万円は?」 「わかった。  それで乗ろう!」 男性は頷くと女性を部屋に案内します。 ドキドキする女性。 男性は女性を部屋に送ったあと。 戻ってきません。 1日待っても2日待っても。 食事は送られてくるけど。 男性は戻ってきません。 10日経ったあと。 旅館の人に言われます。 「チェックアウトは午前12時までなのですが……」 「あれ?」 女性はふと思います。 もしかして…… 「あの私が来たとき一緒にいた男性は?」 「あ、坊っちゃんのことですか?」 「え?」 「あの方は、この旅館の館長の息子さんです」 「え?」 女性はこのとき思いました。 私はもしかして旅館の客引きに引っかかっただけ? ナンパじゃなかったの? 女性は涙をこらえながらATMに向かいましたとさ。 -おしまい-
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