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あたたかい家
もともとキャリーバッグで渡り歩いていた基起にはほとんど荷物は無く、あっという間に引っ越し作業が終わってしまった。
橘荘には空き室は無かったか母屋には部屋が余っているから下宿ということで家賃を入れてくれればいいと言うことになった。そこですぐに引っ越し作業をしたのだが、ほとんど実家にいることは無かったので、実家から持って来るものはほとんど無かった。
「足りないものは少しずつ買って行けばいいか」
「もともと荷物を持ってないのに、今更欲しいものとかあるのか?」
素朴な疑問を基起にぶつけてみると
「寝室だけど、下に板を敷いてベッドにしませんか?」
「どうして?」
「悠二さんの腰が心配で」
「は?」
「今まで以上に求めると思うんで、少しでも腰の負担を減らせるようにと思って」
「嫌とは言わせませんし、モモ太も使うのでモモ太の為と言うことで、オレが買いますね」
今になって、モモ太をだしに使っていることが可笑しくて笑ってしまう。そして基起もつられて笑う。
「オレと悠二さんとモモ太であたたかい家にしたいです」
「俺も」そう答えて悠二は基起にキスをした。
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