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下津 成義 Ⅲ
昼も過ぎると緊張が解け、夕方には楽しいという感情でいっぱいだった。
さらにもうひとつ。
もっと一緒に居たいという気持ちが芽生えていた。
朝から遊びっぱなしだった俺達はパークのベンチで休憩していた。
近くのアトラクションは人気がないのか人通りは少なく穴場だった。
俺はベンチの前の花壇に植えてある黄色い花に目が止まった。
「何の花だろう?」
おれが呟くと彼女が教えてくれた、
「これはマリーゴールド。私が一番好きな花!私の名前、真理子がマリーゴールドに響きが似てるからかなぁ。小さいときから好きなんだ!」
彼女は嬉しそうに話すと、
花野真理子、、、
はなのまりこ、、、
花のマリーゴールド!と嬉しそうに呟いた。
「キレイ」
思わず口から言葉が出てしまった。
「そうなんだ!黄色くてとってもキレイで可愛い。私の好きな花!」
いや、違うんだ!キレイなのはキミの横顔なんだ!
口元まできた言葉をモゴモゴと発したが、パークの軽快な音楽にかき消された。
「ん?なんかいった?」
彼女はこちらを見ている。
「いや、何でもない。」
ついに俺は、伝えることができなかった。
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