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下津 成義 Ⅴ
不思議な夢を見た。
明るい光に包まれた空間に真理子さんが立っていた。
黄色いワンピースを着て、こちらに微笑みかける彼女は美しく、恥ずかしさのあまり目を背けたいような、ずっと見ていたいような複雑な気分になった。
やがて、彼女は背を向けて歩き始めた。
俺は後を追いかけ背中を追った。
どれほど歩いたのだろう。
しばらくすると彼女は立ち止まり、振り返った。
彼女は泣いていた。
「なんで泣いてるの?」
そう聞いた。
彼女はなにか話しているが聞こえない。
彼女に向かって1歩2歩と歩み寄ったところで、携帯のアラームが鳴り、現実に戻された。
シーツは汗でびっしょりと濡れていた。
あまりいい目覚めではなかった。
気分転換にシャワーを浴びることにした。
シャワーの後、コーヒーを飲むために湯沸し器にスイッチを入れた。しばらくするとグツグツと言い始めた。
服を脱ぎ、シャワーの蛇口を捻る。
いきなり冷たい水を浴びて、思わず「うわっ!」と大きな声が出た。
台所でカチッと湯が沸いた音がした。
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