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田所 恵梨 Ⅰ
「めんどくさくなってきたなぁ」
恵梨は待ち合わせの場所を検索しながら、ついつぶやいてしまった。
数日前、友人の恭子から合コンの誘いがあった。
学生のときから、恭子は合コンをするときいつも、私を誘ってくれた。
たが、今の私には付き合って半年の年下彼氏がいる。
もちろん恭子もそれを知っているので最近は合コンの誘いはなかった。
断ろうと思ったのだが
「どうしても、人が足りないの。今回だけでいいから参加してくれない?この埋め合わせは今度絶対するから!!ね!?」
結局、恭子のゴリ押しに負け、参加することになった。
さらに悪いことに会場の居酒屋は彼氏のバイト先であった。
3歳年下の彼氏はまだ学生であり、バイトをしながら、自分のおこづかいを貯めていた。
「むしろ、近くにいてくれたほうが持ちかえられる心配もないし、バイト終わりまで待ってくれたら一緒に帰れるし!」
事情を話した上で参加して良いか、彼氏に聞いてみると意外にあっさりOKしてくれた。
集合場所にはすでに男の子2人、恭子、恭子の知り合いの方が集まっていた。
恭子の知り合いは年上である 、ということは聞いていたが、落ち着いた雰囲気で大人という感じがした。
学生気分の抜けきらない私たちとは違った。
10分ほどして、「わりぃわりぃ」と言いながらも何一つ悪く思っていなさそうに男性側の幹事がやって来た。
モテそうな顔だなと思った。
居酒屋につき、恵梨の両側に男性陣、目の前に幹事が座る形となる。
乾杯、自己紹介という定番の流れで進む飲み会はそれなりに楽しめた。
特に幹事との会話はおもしろく、
「銀行に印鑑持って行ったつもりがリップクリームだった」
という話はツボだった。
だが、酔いもまわり始めるとアニメの話を始めだし、シャーがどうだの、ザクがどうだのと言い出したものだからいよいよ話についていけなくなった。
ガンダムの演説は20分以上続き、いい加減飽きてきたので、恵梨は店員にアイコンタクトを送った。
すかさず「そろそろラストオーダーの時間になりますが、、」っと入ってきた。
会計を済ませ、店を出ると飲み会に参加していた二人が連絡先を交換していた。
「春だなぁ」
恵梨はぼんやりその様子を見ていると携帯にLINEが来た。
「もうすぐ上がれそう。一緒に帰れる?」
彼氏からだった
「外で待ってる。」そう返信しようと思った矢先、
恵梨さん!
後ろから呼び掛けられた。
幹事をやっていた人だった。
幹事と2、3会話をした恵梨は打ちかけていたLINEを消し
「ごめん、今日は先に帰る」
と送った。
送信を終え、振り向くと幹事が待っていた。
二人は夜の街へと消えていった、、、。
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