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花野 真理子 Ⅱ
「今度、どこか遊びに行きませんか?」
そんなLINEが彼から来たのはやり取りを始めて10日ほど経ってからだった。
「二人で?」
私はわざと意地悪な質問をした。
彼からの返信は早かった。
「二人がイヤならこの間のメンバーも誘います!」
「いいよ。二人で。」
彼の一生懸命さが伝わってきて、可笑しかった。
始めてのデートは今週末に近くのテーマパークに決まった。
様々な映画をモチーフにしたアトラクションを売りにしているテーマパークだ。
待ち合わせの時間と場所を適当に決めると私はカレンダーに星のマークをつけた。
どの服を着ていこうか、買ったばかりのスカート、ラフなジーンズ、次々に試着しては、ベッドに置いていく。
よし!これでいこう!
結局、自分のお気に入りのワンピースに決まった。
ふと部屋の姿見に自分が写っているのに気がついた。
今週末を楽しみにしている自分とは裏腹に鏡の中の自分は何故か悲しげな表情をしていた。
あれ、何で…………?
妙な胸騒ぎと共に一筋の涙が頬を伝った。
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