花野 真理子 Ⅰ

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花野 真理子 Ⅰ

桜も散り、夏の足音が聞こえ始めたある日の夜。 居酒屋で合コンに参加していた私は、カシスオレンジを注文した。 目の前の彼もちょうどハイボールを飲み終えたところだった。 「何か飲みます?」 「あ、またハイボールで!」 彼はハニカミながらも空いたグラスをクイッと持ち上げた。 またこれで、と言うように。 これが、彼との始まりだった。 合コンが始まり、居酒屋のバイトがラストオーダーを聞きにきたのは 、隣の男の子がガンダムについて熱く語っていた時だった。 その向かいの女の子は、「へぇ」とも「ふーん」とも言えない曖昧な返事で興味は無さそうだ。 会計を終え、店を出た時、 「あの、」 後ろから突然話しかけられた。 「あの!よかったら連絡先交換してもらえませんか?」 後ろにいたのは向かいに座っていたハイボールの彼だった。 予想外の出来事に私はしどろもどろに連絡先を交換した。きっと私はうまく笑えていなかっただろう、、、。 翌朝、彼にラインしようと思った。 ラインを開き文字を打ち込む、、、今日は、ゴールデンウィーク最終日、こんな日にいきなりラインしたら迷惑かな… 私はそのまま携帯を閉じた。 あの日から何日も経ってしまっている。 未だに一通のラインすら送れていない。 別に好きだとかそういう感情があるわけじゃない。ただ、、、ただ、なんとなく気になるのだ。 今日こそは送ろう。そう決心した。 仕事の帰り道、携帯を開いた。 「この間はありがとうございました!」 その後を他愛もない文を打つ。 何を送ればいいかわからず、つい長文になってしまった。 こんな長かったらいやがられるかな。 私は迷ったが、最後は勢いで送信した。 ピコーン、彼からの返信はすぐあった。 反応があったことが嬉しかった。 帰り道、私はコンビニに寄り、飲み物売場に立つ。今日はなんだか、呑みたい気分だ。 カシスオレンジを手に取った。 …私はフフッと笑い、今日はこっちにしよ!、、、 ハイボールを手に取り私はレジへ向かった……
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