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ガタガタ虫
「キミはガタガタしてるから ガタガタ虫だね」
クーヤは ガタガタした虫の体を触ってそう言った
「ガタガタ虫? ヘヘヘッ 何だかカッコいいな!」
ガタガタ虫は嬉しそうに笑った
「少し蜜を吸わせてもらいたいんだが・・・」
ガタガタ虫は意外にも礼儀正しく そう言った
「いいよ!木の蜜はみんなのものさ」
クーヤは蜜がよく出る場所をガタガタ虫に譲った
ガタガタ虫は よほど腹をすかせていたらしく
おいしそうに夢中で蜜を吸い続けていた
突然 ブーンと大きな羽音が近づいて来た
いつもクーヤをイジメているオオスズメバチの Z だ
「どけどけどけ~~ぃ!そこは俺様の指定席だ!」
Z はドスの効いた声で がなり立てた
ガタガタ虫は ポケ~ッとしたまま Z を見た
「何だキサマ?見慣れないヤツだな 名を名乗れ!」
クーヤは Z が血も涙もないヒドイ虫なのを知っている
ヘタすりゃ ガタガタ虫は Z の鋭い毒針で命を落とす
いつも弱虫のクーヤに 急に勇気と知恵が湧き上がる
「この虫はガタガタ虫さ 神さまの虫だから触るなよ!」
クーヤは Z に向かって大声で そう叫びながら
エイッ!っと ガタガタ虫の前に立ちはだかった
「何だと? 神さまの虫? ガタガタ虫だと?」
オオスズメバチの Z は羽をブンブン唸らせて目を見開いた
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