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大きめの袋、手袋を鞄に詰め込み、外へ出る。
「おや、お出かけですか?」
「うん。魔法薬作ろうと思って、森になんかテキトーに探しに行く」
門の上に座っていたガーゴイルの石像が、微妙な表情になった。
対照的に、向き合うように座っていたガーゴイルは笑う。
「ティアは本当にテキトーに何でも取ってくるからなぁ」
「ちゃんと手袋は持ちましたか? 薬草には、触るだけで危ない物もありますからね」
「まぁた、寝込んでも知らねぇよ?」
最近で言えば、1ヶ月前にも、毒草の棘が刺さり、寝込んでいた。
「ガンバリマス」
「いえ、頑張るとかではなく……」
「そーそーディア……じゃなかった。ニッケル様も、ティアが森で行き倒れたらさすがにビビるし?」
そう言われれば、ティアも少し困ったように唸り、頷いた。
「ちゃんと、お家に帰ってきてから倒れることにします……」
そういうことではないが、なにも言わなかった。
森の中は、奥に行けば行くほど、人の手は入らず、歩きにくくなり、危険も増える。
獣もいれば、妖精だっている。珍しい薬草だって。
「ふふふ~ん」
鼻歌交じりに大きな袋の中に、薬草を摘んでいく。
食べられそうなものは別の袋へ。
「いい匂い……」
甘い香りの漂う果実。
手に取って、口元へ持ってくるが、その手を止める。
前に一度、食べられそうと口をつけて、倒れたことがある。
「……舐めるだけにしよう」
山菜取りのオジサンに、森で遭難して、どうしても食べ物がない時に、食べられるかどうかを判断しなきゃならない時は、一口、齧り、舌にのせろと言われた。
それでしびれたら食べたらいけないもの。しびれなかったら、ひとまず少量腹に入れると教えられた。
「む……いける」
食べられそうと一口齧り、いくつ果実を袋の中へ放り込んだ。
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