ボイスドラマから小説へ

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ボイスドラマから小説へ

さて、少し話を先へ進めまして、「女子大生・清水茉莉花の事件簿」(以下、省略して“事件簿”とします)についてふりかえります。 2013年頃から、趣味でボイスドラマをつくりはじめました。ボイスドラマとは、いわゆる「ラジオドラマ」、「ドラマCD」と同じだとお考え下さい。放送部だった人、あるいは現在進行形で放送部の方には、分かるかもしれません。いろんな言い方がありますね。オーディオドラマだとか、音響ドラマだとかの表現もあります。ここでは、ボイスドラマと書きます。 自分のネタ帳をふりかえったところ、事件簿について設定などを書いたのは2015年となっていました。脚本として残っているのがその時期です。 事件簿は、ボイスドラマにする予定で脚本を書いていました。ですが、予定を変更して、時系列でいうと事件簿の後にあたる方をボイスドラマにしたため、この脚本は、ネタストックの中で眠っていました。 そして、1年後くらいに(履歴を見ると、小説の公開はボイスドラマ公開の2年後のようです)、このまま眠らせるのはもったいないのではないか、と思い、脚本を小説に書きなおして公開しようと考えました。それは、「清水茉莉花と鷲尾悠臣の出会いの物語」だからであり、誰かに知ってほしかった、というのも潜在意識としてあったのかもしれません。 脚本は、台詞以外にSEやト書きがあります。また、ボイスドラマの性質上、「音の世界」で表現するものを「文字の世界」で表現することになるので、最初はかなり戸惑いました。 くどすぎては読みづらいし、専門用語を羅列したからといっていいものになるわけでもない。 中学生の頃に書いた小説以降、論文でも感想文でもなく「小説」を書くのは久しぶりだったので、余計に、でした。 それでも、なんとか文字の世界にとけこめるようにと書きました。 作中に出てくるドアでの仕掛けは、実際に糸を購入して試しました。ただ、一人暮らしでしたので、仕掛けをやると締め出されてしまうため、最後までは試せていませんが……、可能なことは確認したうえで書いています。 ミステリーのお話は、これ以前に投稿したものもあったと思うのですが、例えば「あああああ」。これは、クローズド・サークルに挑戦したものですが、力不足であるのを痛感したのを覚えています。 そんな中で書いた事件簿が、特集で取り上げていただくとは思ってもいなかったので、最初は、中学生の頃同様、「本当に自分が書いたものなのかな?」と疑いました。自分が書いた話だと分かってからは、かなり、動揺しました。それほど驚いたのです。 それをきっかけに、多くの人が読んでくれました。本棚に入れてくれるのが嬉しいです。 そして、このときに、「エブリスタで投稿を続けよう」と思いました。 同じようにボイスドラマの脚本から小説へしたものとしては、同じく特集で取り上げていただいたSF長編「SAIKA―さいか―」や、飾細(しきさい)町での一年を描いた短編集「ひととせ~シキサイのまち~」内にある「星天ふたつ」、中編ファンタジー「たった一人のガーディアンと出会う少年、あるいは勇者」があります。 また、「女子大生・清水茉莉花の事件簿」のように、楽しんで、かつ読む人に没頭してもらえるようなものを書きたいと思っています。 振り返りはこのあたりで終わろうと思います。 読んでくださってありがとうございました。
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