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件名:緊急事態!
大変だ、平人くん。
とても話しづらいことで、手紙にするべきか電話か散々悩みました。
結局メールという形をとらせてもらいました。
いいかい。
どうか落ち着いて読んでほしい。
正直、混乱している。ただ、いつかこんな日がくるんじゃないかと私もママもどこかで恐れていました。
近々君は、私の息子にプロポーズをされる。
いや、すまない。
冗談じゃないんだ。
あの子は本気だ。
その決意を手紙にして寄越してきたんだ。
親として、私達は話し合いました。
答えは二つに一つだね。
君が息子を受け入れるか入れないか。
ごくシンプルだ。
私たちはどちらのパターンも真剣に考えてみた。
聞いてほしい。
まず受け入れない場合だ。
その時は、どうかあの子を傷つけずに振って欲しい。
無茶なことを言ってすまない。
でも例えばどうだろう。
君が許容できる範囲でいい、一か月でも半月でもいいから恋人のように振る舞ってくれないか。その間に息子は常識を取り戻すかもしれないし、そうじゃなくてもいい思い出になるはずだ。
君の優しさに付け込むようで心苦しいが、あの子が泣くのは見たくないんだ。
次に、君が受け入れてくれる場合です。
私達は応援します。
頭の固いことは言わない。子供の幸せを願うのは当然のことだからね。
好きになったら仕方ないさ。
そんな私達だからこそ、子供を置いて夫婦水入らずで過ごしているんだ。
反対しても説得力ないだろう?
ただその場合だと、くれぐれも守ってもらいたいことがあります。
私も男だ。もしも君がそうなら、そういうアレもあって当然で、分からなくもない。
これは大事なことだからね。
ママと一緒にリサーチしたんだ。近所に仲良くさせてもらってる同性のカップルがいるんだよ。色々と相談にものってもらってね。
同性同士の作法を少し、学びました。
つまり何が言いたいかというとね、息子はまだ高校生だ。
どうか、くれぐれも節度のある交際をお願いしたい。
せめて高校を卒業するまでは控えてもらえないかな。
そうだ、春になったら家族で結婚式を挙げよう。
紺も今は大事な時期だからね、きっとそれがいい。
そうするべきだ。
あの子はまだまだ子供だから。
信じているよ、私達の大切な平人君。
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