ごめんね、ありがとう。

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ごめんね、ありがとう。

昇降口から中庭に出ると、まだ雨が降っていた。 今週はずっと雨だ。 誕生日に買ってもらった大きめの傘を手に取り、体育館の脇を早足で抜ける。 レモン色の生地と取っ手のお洒落な柄が気に入っていて、この傘の出番が来ることもこの季節の楽しみのひとつだった。 それから、 最近は、もうひとつ。 「早川先輩」 「津田ちゃん」 「お待たせしました」 「いいんだよ。勝手に待ってるだけだから」 「傘無いんですよね?」 「うん。…見つからなくて」 「駅まで入って行きます?」 「ありがとう。ごめんね、いつもいつも」 「いえ、全然大丈夫です」 正門のすぐ横の信号から一緒に歩き出す。 駅まではそんなに遠くない。
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