28人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
駅から東に伸びた大通りのチーズケーキ専門店は女の子で行列ができていた。ナナセは黒のTシャツに、黒スキニーを履いて、全身黒一色だった。短く切り揃えられた髪はナナセのシャープな顔を引き立たせており、並の男より洗練された外見だった。
「なに、その顔。アミちゃんの事思い出して、センチメンタル?」
「いや、ナナセを見てた」
「え」
「えっ、てそのままの意味。その黒T、いいな。どこで買った?」
「駅裏の雑貨屋」
「あ、あの、変な人形が手招きしてるとこか?」
「あれ、人形じゃなくて、宇宙人のコスモくんだから」
「コスモくんって名前そのまま」
「うん、センスないよね」
「分かってて、その店行くんだ」
「ダサい感じを隠さないのがいいのよ」
「ふーん」
ナナセの持論はよく分からないが、この店でチーズケーキを食べた後に行ってみるのもいいかもしれない。
「ここで、食べた後、その店行く?」
最初のコメントを投稿しよう!