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「ほら、これ食おう」
ガサガサとビニール袋からシーチキンマヨと明太子をナナセに渡した。
「あ、さすが。分かってるね」
「まあね」
梅おかかと鳥五目は俺。和風が好き。バリバリって部屋にビニールとシールが破ける音がした。
「ね、アサト」
「なに」
「おにぎりおいしーね」
「コンビニだけどな」
「今度行く時は起こしてね」
「酒飲んでぐーぐー寝てたくせに」
「だから、起こしてって言ったの」
「分かった、分かった。つーか、今度って…」
口に鳥五目を突っ込んで、ナナセを見た。
「アサト、今日デートしよう」
「どぇーと………」
くぐもった鳥五目に遮られた言葉は、締まらない。
「傷心なんでしょ、昨日は私が先に寝ちゃったから」
鳥五目の鳥肉の筋が、歯の間に挟まった。
引っかかって取れない、気になる。でも、目の前のナナセ表情とか、声とか。言葉の意味とか。
そっちの方がもっと気になった。
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