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始まりの朝
ビリッ。
手帳のメモページを切り取って机の上に置く。
まだ眠る彼女を起こさないように静かに部屋を出て、足早に自宅へと急ぐ。
朝の太陽がやけに眩しい。
今日は直行で客先訪問だから、帰ってシャワーを浴びて着替えて…十分間に合うな。
頭のなかで時間配分をしながら電車に乗り込む。
早朝の電車はまだ空いていて、座席にも空きがある。
扉近くの座席へ腰を下ろすと、軽く眠気に襲われた。
気になる女の子が近くに寝ているというのに、熟睡できる男なんていないよな。
自分に苦笑いをしながらアクビを一つすると、俺は静かに目を閉じた。
何故、電車の揺れって心地良いんだろう。
夢を見た。
彼女を初めて見た時の。
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