人と龍

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人と龍

 晴れたフローティアの町はほとんどが元通りになり、または改装され綺麗で色味の強いフローティアが戻っていた。勿論、ロマーヌのレストランも再開されている。 「いらっしゃいませ」 「ロマーヌちゃん、今日も可愛いの~」 「おばあちゃん、いらっしゃい」  いつもの日常、だがロマーヌの心は満たされない、信じて待つしかないのはわかっている。なので、一生懸命に仕事に勤しんだ。 「何にしますか?」 「え~っとね~」  その時、 「ピィ」  お客さんが入ってくるとその好きにブルー·バードが店を抜け出した。 「ちょっと、ブルー·バード! お母さん、お店おねがいっ」  扉を開き追いかける。 「もうっ、何なのよ!」  お客さんがいるのにと怒り気味になるが、ブルー·バードが町出てしまう。 「え、なんで······まさかっ!」  こんな急に彼が飛びだすなんて、もしかしてと思うと手に汗がにじみでてくる······。  やはりブルー·バードは森へと入っていった。そして彼は龍のねぐらの中に、緊張しながらもロマーヌも入った。 「ハァ、ハァ······ドラゴン······さん」  天井から射す日の光、そこには傷だらけの弱ったレッド·ドラゴンの姿が、  「ロ······マーヌ」 「レッド·ドラゴン······さん、うわぁぁーんっ」  膝から崩れ落ち、彼女は大きな声で泣いた。それを見て彼は精神感応(テレパシー)を送る。 「帰って······来るのに少し、時間が掛かってしまったよ」 「ヒック、ヒック······倒し、たんですか」 「ああ······」  月の上で1日中ホーリー·ドラゴンと戦っていたレッド·ドラゴンは、 「片目を失い、誇りを守る身体もボロボロ、しかしどこにこんなに力が」 「ハァ······ハァ······グオォォォー!」  最期の力を振り絞り捨て身の特攻をかけ、  首を噛み付いた。 「最後だ、ホーリー·ドラゴン」 「バカな、ワタシが」  光とともにホーリー·ドラゴンは消え去ったのだ······。 「――良かった、本当に良かった······帰ってきてくれて」  ロマーヌはレッド·ドラゴンの顔に身体を付け、擦って生きて帰ってきた事にひたすら幸せを感じていた。 「······辛かった」 「レッド·ドラゴンさん?」 「死んでしまおうとすら思っていた······」  倒したあと、彼は2ヶ月間ずっと地球に向けてそのボロボロの身体で真っ暗な宇宙を飛行していた。ただひたすらなにも起こらない宇宙はレッド·ドラゴンを孤独に追いやり死をチラ付かせたが、 「その度に、ロマーヌ、君を想いだし帰れることを信じて進んだ······」 「うれしいです······だって、またあなたに会えたんですもの」 「······元気で、良かったよ」 「そんなことないです、私も諦めてました······もう会えないって、でも皆が私に諦めるなって······もし、あのままだったら、あなたに、会えなかったかもしれない」 「ロマーヌ······」 「レッド·ドラゴンさん······」 「もう少しこうして、一緒にいたい······」 「いいですよ······ずっと、ずっと一緒です」 「ああ······ロマーヌ、愛してるよ」 「私も、愛してます······レッド·ドラゴン」  ロマーヌとレッド·ドラゴンは静かに眼を閉じて、今この幸せをただただお互いに感じ合った······。                   ―END―
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