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神々しい光
すっかり雨も止んだ夜、フローティアに戻ったロマーヌはお母さんに事情を話て町を出る。
「レッド·ドラゴンさん、お待たせしました」
彼女は頭巾とコート掛けていた。
「では行こうか」
彼の下げた頭に乗り、赤い龍は夜空を飛んだ。
「すっ、すごーいっ!」
「そうだろう」
それはまさに夜の光る海、どこを見ても光る粒が星達が広大に散りばめられている。
「この景色を見せたかった。我も大きいが宇宙に比べたらロマーヌと変わらないのだ」
「······そうですね、この夜景を見ていると私もそう思います。自分達は小さな存在だと」
この時だけ、一人と一匹は大きさの違いを忘れることができた。それだけ今見ている夜空は彼等の心を奪っていたのだ。さらには流れ星も現れるなど楽しい時間はあっという間に終わる······。
フローティアの町からそう遠くない場所で着陸して降りたロマーヌは、
「レッドドラゴンさん、今日はありがとうございました。私すっごく楽しかったです」
「そうか、我も······楽しかった」
彼女を見ると満面の笑顔と輝く目で見つめられ照れくさくなる。
「じゃあ私はこれで」
「さらばだ」
町へと向かうロマーヌが遠く小さくなって行くと思ったら、振り返って頭を下げる最後に、
「ワタシー、レッド·ドラゴンさんがー、大好きでーすっ!」
自分の気持ちを言ってしまい、恥ずかしく走って町に入って行った。
「ロマーヌ」
その時、
『秩序を壊すものに裁きをあたえる』
精神感応を感じたレッド·ドラゴン、
「来るのか······」
振り向くが誰もいない、しかし先程の夜とは売って変わって不気味にも風により木々がなびき、彼は静かに覚悟を決める······。
楽しかった昨夜が終わり、早朝ベッドから目が覚めたロマーヌ、
「ふぁ~、今日も······」
「ロマーヌ」
「レッド、ドラゴンさん? どうして······」
「落ちついて聞いてくれ」
「はい」
こんな時に精神感応が来るなんて嫌な予感がした。
「お別れの時だ」
「えー······どう、して」声が震えだす。
「······秩序を乱した我に裁きが下る時が来たのだ」
「そんな、あれは青い龍が」
「それを決めるのは、我ではない」
「······そんな、そんな、嫌です!」
「すまない」
「どうして、どうして? 昨日はあんなに楽しかったのに、どうしてこんな地獄に突き落とすようなことをするの」
なんと言えばいいのか分からず黙ってしまうレッド·ドラゴン、
「······行かないで······行かないでくださいっ!」
「······それはできない」
「なんで······うっうっ」
悲しくて涙を零すが、彼は、
「どうやら、もうサヨナラのようだ」
「待って、行かないでっ!」
「ロマーヌ、最後に言わせてくれ」
「レッド·ドラゴンさん」
「愛している」
「レッド·ドラゴンさん······レッド·ドラゴンさんっ!」
彼からの通信は切れ、
「うわぁぁーんっ!」
彼女ベッドの上でただ泣く事しか出来なかった······。
「覗き見とはそれが貴様のやることか」
フローティアの上空でロマーヌに精神感応を送っていたレッド·ドラゴンの後ろに、
「秩序の龍 ホーリー·ドラゴン」
その姿はレッド·ドラゴンやブルー·ドラゴンと同じだが違うのは、鱗が太陽のように神々しく光輝いている。
「······レッド·ドラゴン、ワタシが来た理由、わかっていますね?」
「ああ、後悔はしてはいない」
そう言うと同時に日が2匹を照らす。
「だがなぜだ」
落ち着いたようで内で燃えながら、
「なぜブルー·ドラゴンを放置した!」
ホーリー·ドラゴンに問いただした。
「······ワタシが担当する星はここだけではないのです」
「ふんっ、だからしかたないと?」
「それに、アナタがヒトに好意を持たなければ、ブルー·ドラゴンに話さなければ、良かったのでは?」
「······奴に話したのは我の失態だった。だがロマーヌを愛した事に後悔はない」
彼の揺るがぬ決意をわかってか、
「心を攻めるつもりはありません。ですが掟は掟」
「ああ」
「アナタを裁きます」
その瞬間地球からレッド·ドラゴンとホーリー·ドラゴンは、消えた。
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