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 容疑者は真壁(まかべ)洋一(よういち)、32歳。電気部品メーカー勤務。既婚。妻と2人暮らし。  被害者は同じ会社の事務員である相楽(さがら)沙織(さおり)、28歳。  1年ほど前から真壁と沙織は不倫関係にあった。社内では知られていなかったが、沙織のアパートへ真壁が訪れるのを近所の住民が何度も目撃している。  沙織の死亡推定時刻は昨夜23時頃。昨日は仕事が終わった後2人で中華料理屋で夕食を食べ、その帰りにコンビニで缶ビールを購入し、沙織のアパートへ行った。  食堂、コンビニの店員は2人の来店を目撃したと証言している。コンビニの防犯カメラにも2人の姿がはっきりと録画されていた。防犯カメラの時刻は21時。その後2人でアパートへ行きビールを飲んだと思われる。被害者宅のテーブルの上には飲みかけの缶ビールが2本、それぞれに沙織と真壁の指紋が確認されている  今朝出社して来ない上に何度電話をしても応答の無い沙織を心配した会社側が、アパートの管理会社に連絡し、変わり果てた沙織を発見するに至った。  沙織の首の痕から何者かに紐状の物で締められ死に至ったと断定された。部屋に物色された様子も無く、着衣の乱れも見られなかったので強盗などでは無い。沙織の服装が寝間着だった事からごく親しい者の犯行である可能性が高い。  状況、物証ともに真壁が1番有力な容疑者として浮かび上がり、出社していた真壁の身柄を確保した。  取り調べに真壁は沙織との関係、昨夜の行動については認めているが、殺害については完全に否認している。  夕べ22時にはアパートを出た、その30分後には家に帰ったと供述している。  
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