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真実と園田は一旦署に戻り、そこで他の捜査員たちと落ち合った。捜査員は総勢6名、みんな強面の刑事ばかりで女性は真実1人だけだった。捜査員は2台の車で真壁の家へと向かった。
園田は真実に運転を任せ助手席に座りたばこに火をつけた。
「まあ良くある痴情のもつれってやつだな。すぐに解決するさ。河合ちゃんは家宅捜索は初めてだよな」
「はい。何をするんですか?」
「先ずは凶器を見付けるんだ。被害者の首を締めたと思われる紐状の物だ。それらしい物があったら端から押収しろ」
「はい。あとは何を?」
「あとは一応真壁のアリバイ確認だ。真壁は22時30分には家に帰ったって言ってるから奥さんに確認する」
「でも奥さんが真壁をかばって嘘の証言するかもしれないじゃないですか」
「一応だ。嘘の証言だろうが確認が取れなきゃ真壁の犯行だという可能性が高くなる」
「アリバイが崩れて凶器が発見されれば真壁が犯人だと特定されるわけですね」
「特定であって確定では無いがな。まあでも間違いないだろう。それにまだ奥さんは真壁の逮捕を知らないから教えてやらなきゃいけないしな」
夫が逮捕されたと聞かされたら、ましてや殺人を犯したなどと聞いたら奥さんはどんな気持ちになるのだろう。きっとショックを受けるに違いない。そんな奥さんに寄り添ってあげなければと真実は思った。
「それにしても人を殺しておいて次の日普通に出社するって、どうなんでしょうね」
「さあな。犯罪者の心理なんて分からんよ」
「本当は無実だったりして」
「真壁以外には考えられん」
「そうなんですかねえ……」
人を殺しても平気な顔でいられる人間がいるとは、真実はとても信じられなかった。
「奥さんは家にいるんですか? 働いているならいないかも」
「専業主婦って事だが、買い物にでもいって留守の可能性もあるなあ。でもな、家宅捜索ってのは強制なんだ。誰もいなかったらドアをぶち壊して入ってもいい事になってるんだ」
園田はニヤリと笑った。
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