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「奥さんに少し聞きたい事がありましてね。昨夜旦那さんは何時に帰宅されましたか?」
「…………」
「家でいつもと違う様子とか、なかったですか?」
「…………」
「奥さん、奥さん」
明らかに菜々子はショックを受けているように見えた。可哀想に思った真実が口を開いた。
「奥さん、突然こんな事になってしまい心中お察しします。お辛いですね。でも奥さんの証言によっては旦那様もアリバイが証明されて無罪放免になるかもしれないんです。是非お話を聞かせて下さい」
「……は、何ですか? 主人は証拠も無いのに逮捕されたって事ですか?」
「いえ、証拠はありますし、昨夜被害者の部屋へ行った事は明らかなんです。ただ犯行時間にそこにいたとはまだはっきりしていないんです」
「証拠って何ですか?」
「はい、食事をした店と缶ビールを買ったコンビニの店員の証言と、部屋に残されていた缶ビールに指紋があった事、それから……」
真実が言いかけると園田が真実の背中をつねった。
「何を……」
園田は真実をにらみ首を1回横に振った。真実は自分が喋りすぎた事に気付いた。
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