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私は不思議にも何故だか恐れることなく躊躇することもなく吸い込まれるように助手席に乗ることになった。これは紛れもなく伝説のラリーカー、ランチャストラトス。いきなりフェラーリ製2500V6エンジンに鞭打ってストラトスを駆るザナルディ。公園なんだか何処なんだか猛スピードで走るものだから激しく窓を打ち窓の外を流れる雨とフェラーリミュージックに酔いしれる為にさっぱり分からない。兎に角、雨粒がワープする宇宙船から見る星屑みたいに見える中で公園を出たことは確認できた。スリップする所為かホイールベースが短い所為か直進時もこまめにハンドル操作する。峠のワインディングロードに入った日にはホイールベースの短さが利点に転じてミッドシップの特性を最大限に生かして車体がくるくる回る感じで九十九折をドリフトしまくりで滑り抜けてしまう。その時のハンドルワークはすさまじく正に神業。私はアクセル、ブレーキ、クラッチはどう操作してるのだろうと思っていると、視界が一様に黒く靄って来た。いつの間にか私たちは雲海の中を飛んでいたのだ。コースアウト?何してるの?ザナルディ!うわあ!急降下!死ぬ~!グシャ!グニュ!ズボズボ!ドドドド!ズルズルズル!何!この感触!でも兎に角、雨の中を走ってる!
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