双子の妖精

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 地上の人々はというと、呑気なもので、南の者は「晴れじゃ、晴れじゃ!太陽の恵みじゃ!」と、北の者は「雨じゃ、雨じゃ!天の恵みじゃ!」と、笛を吹き、陽気に踊っておりました。  喜ぶ人々を見て、双子の妖精は思いました。 「それみたことか。私こそが、必要とされているのだ」と。  毎日毎日、双子は休まず、南は晴れに、北は雨にし続けました。  さて、一月ほど経ったでしょうか。  地上の人々は笛も踊りもやめて、争いを始めたのでした。領土争いでした。南のものは、雨を求めて北へ。北のものは、晴れを求めて南へ。  ハレタは思いました。 「南のものは、なぜ雨を求めるのだ。晴れこそが喜ばれるものなのに」  アメカは思いました。 「北のものは、なぜ晴れを求めるのだ。雨こそが喜ばれるものなのに」  双子の妖精が戸惑っていると、風の妖精がやってきて、地上の人々の声を双子に聞かせました。  南のものたちは言いました。 「おお神よ、南の大地に恵みの雨を降らせてくだせぇ。こうも晴れが続いては、大地が干からびて、暮らせなくなってしまいます。どうか、南の大地に雨を」  北のものたちは言いました。 「おお神よ、北の大地に太陽の光を降らせてくだせぇ。こうも雨が降り続けては、大地が水で沈んで、暮らせなくなってしまいます。どうか、北の大地に太陽を」
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