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それを聞いた双子は驚きました。晴れこそが/雨こそが、喜ばれるのだと思い込んでいたからです。
ハレタは気づきました。
「ずっと晴れでは、意味がない」
アメカも気づきました。
「ずっと雨では、意味がない」
双子はやっと、自分たちが双子として生まれた意味を悟りました。
明くる日、王様が双子を神殿に招きました。
「晴れの妖精ハレタよ。南はどうじゃ、望みを叶えられておるか?」
ハレタは答えました。
「いいえ、私ひとりでは、望みを叶えられませんでした」
王様は、ふむふむとハレタの話しを聞き、今度はアメカに質問しました。
「雨の妖精アメカよ。北はどうじゃ、喜ばれておるか?」
アメカは答えました。
「いいえ、私ひとりでは、喜ばれませんでした」
王様は、ふむふむとアメカの話しを聞き、こう言いました。
「では、晴れの妖精ハレタは、北へ――」
すると双子は、王様の言葉を遮り、言いました。
「いいえ、王様。これからは、二人であちこちを旅して、時には雨を、時には晴れを、地上の人々へ贈りたいと思います」
王様は、ふむふむと双子の話しを聞き、言いました。
「よいじゃろう。晴れの妖精ハレタ、雨の妖精アメカ、二人に旅の許可を与えよう」
双子は、この時初めて、王様の笑顔を見たのでした。
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