19人が本棚に入れています
本棚に追加
ドアが開かれると同時に鈴の音が店内に響き、ミアは振り向く。
優しい笑顔を浮かべた老人の常連客だ。ミアはその客の名前を思い出す。毎日のように来てくれていたのに、名前を知ったのは実は最近だったりする。
「ロドリィさん!今日も来てくれたのね!」
「魔女のコーヒーはとっても美味しいからね」
「もー、その呼び方ロドリィさんはしないでって言ってるのに」
「すまんすまん、つい」
「ふふ、じゃあいつもので良いわよね?」
「ああ、頼むよ」
ミアは微笑むと杖を軽く振る。杖の先は光珈琲豆が動き出す。
空中に浮かんだ珈琲豆は次々粉へと変われば、準備したドリッパーに流れるように入っていった。横目でロドリィを見れば目が合う。
「ロドリィさんっていつも見つめてくるわよね」
「ミアちゃん可愛いからね。それに、僕は君がコーヒーを淹れる姿が好きなんだよ」
「嬉しい事言ってくれるわね」
白髪と白髭の似合うロドリィの優しい言葉にミアの口元は緩み、嬉しそうに笑った。
最初のコメントを投稿しよう!